基礎知識 (法人税No.9) 

出向者給与について
法人税法上、出向者に対する給与について、出向先の法人で出向者に直接給与を支払うことになっていれば、通常の給与支給の場合と同様の扱いとなり、その出向者が出向先の法人で役員の地位にあれば、定期同額給与等の適用を受けます。

また、使用人兼務役員に該当すれば、その者に支給する賞与のうち使用人分相当額は損金に算入されます。

これに対し、出向者の給与を従来通り出向元法人で支払い、その給与相当額を「経営指導料」等の名目で出向先法人から徴収している場合は、注意が必要となります。

出向者の労務の提供は出向先法人に対して行われていますので、その者の給与は出向先で負担するのが当然となります。従って、どういう名目で支出するにせよ、出向元法人に対して支出する給与相当額は、出向先法人では給与として取り扱うこととなります。
この場合、出向元法人で出向者に支払うお金は立替金ですから、出向先法人から徴収する給与負担金はその回収額として、又は支払時に給与勘定にて計上していればその返戻額として処理することとなります。

出向先法人が出向元法人に支払う給与負担金は出向先法人における給与として取り扱われますが、現実に給与を支給するのは出向元法人なので、源泉徴収は出向元法人において行われます。

そこで、出向者が出向先法人で役員となっている場合、その者の給与負担金に対して定期同額給与等が適用されるかどうかが問題となります。
出向先法人における役員としての職務執行の対価として支払われているかどうかがポイントとなりますが、以下の要件を満たせば、給与負担金についても上記の適用を受けることとなります。
  1. 出向先法人の株主総会等において出向者の給与負担金の額を決議していること。
  2. 出向契約等で出向者の出向期間や給与負担金の額が予め定められていること。
以上の要件をいずれも満たす場合には、給与負担金の支払い形態が定期同額等の要件を満たすかどうかの判定が必要おとなります。

2013年7月31日
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