基礎知識 (法人税No.25)

新株予約権の処理について

「新株予約権」とは、会社が新株を発行する時にあらかじめ定められた価格で株式を取得することができる権利のことをいいます。この新株予約権を保有する人は、将来株価が上昇した場合には権利を行使し、あらかじめ定められた価格で取得し上昇した株価で売却することにより、株式売却益を確保することができますし、逆に将来株価が下落した場合には権利を行使せずに権利を放棄することになります。

この新株予約権のうち、インセンティブ報酬として会社が従業員等に無償で新株予約権を付与するものを「ストック・オプション」といいます。

ここで、新株予約権について法人税法上の取り扱いについて説明したいと思います。

(1)新株予約権を有償にて発行する場合は、払込金額を新株予約権として純資産の部に計上し、権利が行使された時には、計上された新株予約権と権利行使による払込金の合計額を資本金に振り替える処理を行います。

(2)新株予約権を無償にて発行する場合(ストック・オプションを付与する場合)には以下の通りとなります。

まず、所得税法上、役員や使用人にストック・オプションを付与する場合には、付与したストック・オプションの経済的利益について、原則としてストック・オプションの権利行使時に給与所得として課税されることになります。そこで、これに対応する形で法人税法上は、権利行使時点においてストック・オプションの公正な評価額を損金算入することになります。

ここで、租税特別措置法上において、以下の要件を満たすストック・オプションについては、権利行使時に課税されず、権利行使により取得した株式を売却した時点で譲渡所得として課税することとしています。

  1. 付与決議の日以後2年を経過した日から10年を経過する日までに行使が行われること。
  2. 権利行使価額の年間合計額を1,200万円を超えないこと。
  3. 新株予約権の譲渡が禁止されていること。
  4. 権利行使で取得する株式が証券業者等に保管委託されていること。

上記を満たすストック・オプションを「税制適格ストック・オプション」といいますが、この税制適格ストック・オプションに該当した場合には、会社側においては損金計上できないので注意が必要となります。

2013年8月24日

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