基礎知識 (法人税No.31)

棚卸資産の評価方法について

法人税法上、棚卸資産の評価方法には原価法と低価法があります。原価法については、以下の6つの評価方法のうちいずれかで取得価額を算出する方法です。

  1. 個別法・・・期末棚卸資産の全部について、個々の取得価額で評価する方法
  2. 先入先出法・・・期末棚卸資産は期末にもっとも近い時点で取得した棚卸資産とみなした単価をもって取得価額で評価する方法
  3. 総平均法・・・期首に有していた棚卸資産の取得価額の総額と期中に取得した棚卸資産の取得価額の総額との合計額を、これらの棚卸資産の総数量で除して計算した価額を1単位あたりの取得価額とする方法
  4. 移動平均法・・・受入れの都度計算する総平均法で、棚卸資産を取得する都度その時点で有する棚卸資産と新たに取得した棚卸資産との数量及び取得価額に基づいて平均単価を算出し、以後同様の方法で計算を行い期末時点での平均単価を算定する方法
  5. 最終仕入原価法・・・期末に最も近い時点で取得したものの単価を1単位当たりの取得価額とする方法
  6. 売価還元法・・・種類等又は差益率の同じ棚卸資産ごとに、期末における販売価額の総額に下記の原価率を乗じて計算した取得価額で評価する方法
    原価率=(期首棚卸資産の取得価額+当期仕入棚卸資産の取得価額)/(期末棚卸資産の販売価額+当期売上棚卸資産の販売価額)

次に低価法とは、原価法のうちいずれか一つの方法で評価した価額と、期末における時価のいずれか低い価額で評価する方法です。低価法で棚卸資産を評価する際の時価は、期末日における通常の売却可能価額から、追加製造原価と販売直接経費の見積もり額を控除した正味売却価額によることとされています。なお、原材料等の未加工品については再調達原価により計算した金額を期末時価とすることが認めれています。

低価法の適用により棚卸資産の帳簿価額を切り下げた場合、翌期首においてその帳簿価額を取得価額に振り戻す処理が要求されます。

棚卸資産の評価方法は、事業の種類ごとに、かつ、種類ごとに選択し、税務署に届け出ることになります。なお、法人が棚卸資産につき評価方法を選択しなかった場合、または選択した方法で評価しなかった場合の法定評価方法は最終仕入原価法で算出した取得価額による原価法とされています。

2013年8月28日

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