基礎知識 (法人税No.56)

繰延資産の概要について

法人税法上、繰延資産とは、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと定義されており、具体的には以下のものをいいます。

  1. 創立費・・・発起人に支払う報酬、設立登記のために支出する登録免許税など法人の設立のために支出する費用で、その法人が負担すべきもの
  2. 開業費・・・法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用
  3. 開発費・・・新たな技術や経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別支出する費用
  4. 株式交付費・・・株券などの印刷費、資本金の増加の登記についての登録免許税など自己の株式の交付のために支出する費用
  5. 社債等発行費・・・社債券などの印刷費など債券の発行のために支出する費用
  6. その他の税務上の繰延資産

このうち、1から5については、企業会計上の繰延資産の会計処理に関する当面の取り扱いにて繰延資産として認められています。企業会計上で認められている繰延資産の会計処理方法は以下の通りです。

  1. 創立費・・・会社成立時から5年以内のその効果の及ぶ期間内に定額法にて償却
  2. 開業費・・・開業時から5年以内のその効果の及ぶ期間内に定額法にて償却
  3. 開発費・・・支出時から5年以内のその効果の及ぶ期間内に定額法その他合理的な方法にて償却
  4. 株式交付費・・・株式交付後3年以内のその効果の及ぶ期間内に定額法にて償却
  5. 社債等発行費・・・社債の償還期間内に利息法(継続適用を条件として定額法でも可)にて償却

企業会計上は、繰延資産として計上される科目は上記の5項目に限定されており、会計上の繰延資産と税務上の繰延資産について範囲に違いがあるため注意が必要となってきます。

次回は税務上の繰延資産について説明したいと思います。

2013年9月12日

ページトップへ

新田会計事務所 >基礎知識 >基礎知識(法人税①) >基礎知識(法人税No.56)