基礎知識 (法人税No.74)

交換により取得した固定資産の圧縮記帳③

前回は交換により取得した固定資産の圧縮記帳を受けるための要件について説明しましたが、今回は、交換により取得した固定資産の圧縮記帳の圧縮限度額について説明したいと思います。

ここで、交換には、①交換差金がない場合、②交換差金を取得した場合、③交換差金を支出した場合の3通りのケースがあります。圧縮限度額は、この3通りのケースに応じて以下の算式によって計算します。

①交換差金がない場合
圧縮限度額=取得資産の時価-(譲渡資産の帳簿価額+譲渡経費)

②交換差金を取得した場合
圧縮限度額=取得資産の時価-(譲渡資産の帳簿価額+譲渡経費)×(取得資産の時価/(取得資産の時価+交換差金))

①交換差金を支出した場合
圧縮限度額=取得資産の時価-(譲渡資産の帳簿価額+譲渡経費+交換差金)

譲渡に要した経費は譲渡資産の帳簿価額に加えます。ここで、譲渡経費とは、交換にあたり支出した仲介手数料、荷役費、運送保険料その他譲渡に要した経費のほか、交換のために土地の上にある建物を取り壊した場合の取り壊し損失も経費に含まれます。

交換で取得した資産の圧縮記帳は、譲渡資産の帳簿価額を引き継ぐことによって課税の繰り延べを図ることを目的としています。従って、交換差金の取得があれば、譲渡資産の帳簿価額のうち交換部分に対応する金額を計算し、圧縮限度額の計算ではこの金額を取得資産の時価から控除します。

また、反対に、交換差金を支払った場合には、これは新しい資産を取得するための対価でその取得資産の価額を構成します。そこで取得資産の時価からその交換差金を控除して、交換部分についてのみの交換差益金額を計算し、これを圧縮限度額とします。

2013年9月22日

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